波が大きい日はビンギンへ
ビンギンは周辺のポイントより2サイズくらい波が小さい。それで、ウルワツが大きい日はビンギンへ行くことがあった。
ビンギンの波はクオリティが高く、マシンブレイクと呼ぶにふさわしい。ただ、ワンピークのポイントブレイクなので人が集中する。
一番奥にはセットを狙う腕自慢のサーファーがひしめき合っている。そんなセットの波は乗れそうもないので、彼らがスルーしたおこぼれを狙うのがいつものパターンだ。
入ってるのはほとんど白人で、少人数ながらローカルもいる。白人サーファーも上手いが、ローカルはもっと上手い。
そんなローカルが波を取りにいくと、誰もその波には手を出さない。そういう暗黙のルールがあるようだ。
いつものように一番奥の集団のインサイド寄りでおこぼれを狙っていた。そこへセットが入り、1人のローカルが波に乗ろうと動き出す。もうその波は彼のモノと決定した。
ただ、ちょっと動き出しが早かったようで、なかなか波が近づいてこない。それでも岸に向かってパドルを続ける。そして、ついには僕の横を通り過ぎていった。
この時点でポジション的には僕の方が優先だ。まあ乗らないけど。
ようやく波が追いつき、彼はその波に乗っていった。

後ろを振り向かない
この一部始終を見ていて僕は驚いた。彼が動き出してから波に乗るまで、一度も後ろを振り向いてないのだ。
テイクオフする前に何度も後ろを振り向く僕には理解できない。なぜまったく後ろを見ないのか? なぜ波の状況を確認しないで乗れてしまうのか? 謎は深まるばかりだ。