待ちわびた日が来た
五十肩が8か月掛かってようやく治った。これでやっと両手でサーフィンできる。僕はこの日が来るのを待ちわびていた。
ずっと片手でサーフィンしていたのだから、両手が使えるようになれば凄いサーフィンができるのではないかと期待していた。そう、大リーグボール養成ギブスを脱いだ星飛雄馬のように。
久々に両手でパドリングする。やはり片手より全然楽だ。やって来た波にスイスイと合わせられる。
しかし実際に乗ってみると、期待したほど凄いサーフィンができるわけではなかった。五十肩になる前と何ら変わってない。そんなものなのか?

元の木阿弥に
片手の時のテイクオフは神経を研ぎ澄ませ、被るか被らないかの際どい位置に合わせていた。
だが両手が使えるようになると、リスクの少ない角度の緩い位置に合わせるようになっていった。これでは片手で頑張ってきたテイクオフが元の木阿弥だ。
人は恵まれた環境に置かれると、ついついそれに甘えてしまうものなのだろう。かと言って、もう片手には戻りたくない。やっぱり楽な方が良い。
そうして何事もなかったかのように、元の木阿弥のサーフィンに戻っていくのであった。