何も考えずにウルワツに通っていた
バリに移住して最初の頃は、何も考えずにウルワツへ行ってサーフィンしていた。だが、だんだん疑問に思うようになってきた。
ウルワツでサーフィンしていても上達する気がしない。波に乗せられてる状態で、思い切り攻めることができない。振り落とされないように守りに入ったサーフィンになってしまう。
まだ日本でサーフィンしてた方が上達を感じられていた。
それと、自分がウルワツでサーフィンするのが場違いのように思えてきた。
周りの白人やローカルはチューブに入ったりエアを飛んだり強烈なリッピングを決めたりとレベルが高い。それに比べ、僕のサーフィンはアップスアンドダウンに毛が生えた程度だ。テイクオフの早いサーフボードのおかげで波には乗れているが、せっかくの良い波を活かしきれてない。

もっと上手くなってから来よう
ある日、そんな疑念を抱きながらもウルワツでサーフィンしていた。ピークには僕の他に日本人が1人いる。歳は僕と同世代だろうか。
僕が波を乗り終わりパドルアウトしている時に彼が乗った。やはりテイクオフの早そうなサーフボードで、セットの波をきっちりとらえている。ただ、ライディングはアップスアンドダウンに毛が生えた程度と、まるで自分を見ているようだ。周りのサーファーと比べると見劣りしてしまう。
波待ちをしていると、彼がピークに戻ってきた。その顔を見て「えっ?」と思った。思い切りドヤ顔してるではないか。
いや、元々そういう顔の人で、本人はそんなつもりはないのかもしれない。でも、そう見えてしまう。
なんか急に恥ずかしくなった。自分もそんなふうに見られているのか。そして思った。ウルワツはもっと上手くなってから来ようと。
その日を境に、僕はウルワツへ行かなくなった。