友だちに誘われ
「ウルワトゥ行くけど一緒に行く?」と、ローカルの友だちに誘われた。彼は僕が知るローカルの中でも最も上手いサーファーの1人だ。ウルワツでどんなサーフィンをするのか見てみたいので便乗することにした。
ウルワツに着いたのは午後で、潮はロータイドに向かっている。
「ロータイドはコーナーが良いよ。上がる時も崖の下を歩いて帰れるからね」
そう言う彼の後についてエントリーする。コーナーの端まで流されながらブレイクを越えラインナップを目指す。
しかしコーナーのラインナップは通り過ぎ、ピークにたどり着いた所で波待ちを始めた。あれっ?コーナーでやるんじゃないのか?
バラけがちな波で
この日の波はキレイな一本にならずバラけがちだ。乗ってもその先が崩れてしまいロングライドできない。グーフィーフッターの彼はけっこう長く乗ってるようだが。
僕は何度乗ってもショートライドで終わってしまう。潮もだいぶ引いてきたので上がって岸から眺めることにした。
ピークのインサイドはドライリーフがむき出しになり、ほとんどのサーファーがより水深のあるコーナーに移動した。
彼は相変わらずピークの一番奥を陣取ってる。そして彼が波に乗った。

見えなくなるまで乗っていく
先が崩れて僕がライディングを終えていた所では、ひょいとリップに飛び乗り先へとつなぐ。何度かフローターを使いながらグングン加速していく。そのままコーナーに突入すると、深いボトムターンからリッピングで大きなスプレーを飛ばす。こりゃ、自分が乗るより見てる方がスカッとする。
コンスタントに波に乗っては、その全てがロングライドだ。圧巻は最後の波で、ビッグスプレーを何度も飛ばしながらコーナーのずっと先まで乗っていき、ついには岸から見えなくなった。
崖の下を歩いて帰ってきた彼に声を掛ける。
「最後は長かったね」
「うん、パダンパダンのラインナップが見えたよ。やっぱりコーナーが良かったでしょ。ピークはただ走るだけだったよ」
うーん、次元が違い過ぎて共感できない僕であった。