スピードが出るボードに甘えていた

ボリュームを増やしたボード

バリに移住した当初から日本のメーカーのサーフボードを使っていた。もう四十代だからとパドリングが楽になるように少しボリュームを増やしたボードだ。

数値で言うと長さが6フィート、幅が48センチ、厚さが5.8センチで、小波でもスピードが出て調子良いし、大きい波はテイクオフが早いので僕でも頭半くらいなら行ける。
そのボードがクラッシュしてリペア中だったので、予備のボードを使うことにした。

予備のボードは90年代の終わり頃の物で、かなり黄ばんでいるが壊れても惜しくないのでサーフトリップ用に使っていた。
最近のボードに比べると細長くてレールが薄いデザインだ。数値は長さが6フィート2インチ、幅が46センチ、厚さが5.6センチで持った時のボリュームは感じられない。
そのボードも同じ日本のメーカーの物で、テイクオフの滑り出しが早くて乗りやすい。

予備のボードを持って海へ行くと、とても良い波がブレイクしていた。適度に掘れた頭くらいのサイズで、フェイスが広くブレイクはそれほど早くない。誰でも自由にマニューバが描けるファンウェーブだ。
こんな波には長めのボードで大きいターンがマッチする。

サーフィンが退化していた

フロントサイドとなるライトの波をゲットし、ボトムターンで縦に上がり大きくトップターンを仕掛けた時、それは起こった。
トップターンの頂点に達した所で背中側にパタンと倒れたのだ。こんな倒れ方をしたのは初めてで、一瞬何が起きたのかわからなかった。

冷静になって分析してみると、スピードが足りず遠心力が重力に負けて倒れたようだ。
バリの力強く押してくれる波と、ボリュームがあり勝手にスピードが出てくれるボードに甘えて、自らスピードを出すことをしなくなっていた。それはサーフィンが退化してることを意味する。

サーフィンが上達するどころか退化していたなんて。
このままではいけないと思い、その日からボリュームのあるボードを封印した。