テイクオフの早いボードがサーフィンの上達を妨げる

早いボードの落とし穴

僕がサーフィンを始めた頃は、サーフボードが今と比べ薄くて細長いデザインで、ノーズはもっと尖っていた。当時はそれが普通だったし、特にサーフボードにこだわることはなかった。
サーフボードの性能よりも自分の技術を磨くことに専念していた。

いつの頃からかテイクオフの早いサーフボードが流行り出した。サーフィン雑誌などのメディアの影響によるものだろう。
僕も流行に流され、もう歳だからとボリュームを持たせたテイクオフの早いボードを購入した。
初めてそのボードを乗った時はテイクオフの早さに驚き、サーフィンが上手くなった気がして喜んで乗っていた。

ところが、サーフィンは上達するどころか退化していく。技術を磨くことを忘れ、ボードの性能に頼るサーフィンになっていたようだ。
今になって振り返ると、テイクオフの早いボードが上達を妨げていたとわかる。
いい加減なテイクオフでも波に乗れてしまうし、いい加減なライディングでもボードは走ってくれる。そして自ら走るのではなく、波に押されて走るどん臭いサーフィンが身についてしまったのだ。

ハイパフォーマンスボードで変わり始めた

そのことに気づいたのは、50代でハイパフォーマンスボードに乗り換えてからだ。
無駄な贅肉を削ぎ落としたハイパフォーマンスボードは、テイクオフが遅くそれまで乗れていた波に乗れなくなった。いかに自分のテイクオフが未熟だったか思い知り、テイクオフを1から勉強し直すことになる。

それをきっかけに、再び技術を磨くことに専念するようになった。
パドリングやテイクオフが遅く波に押してもらえないハイパフォーマンスボードは、技術を磨くには持ってこいだ。間違った乗り方では走らないので、自分の悪いところを気づかせてくれる。正しい動きができた時はハッキリと効果が現れる。未熟者の僕には新しい発見の連続だった。

おかげで、ハイパフォーマンスボードに乗り換えてからサーフィンが上達し始めた。少しずつではあるが、20年以上停滞していたサーフィンが変わり始めたことは大きな成果である。
テイクオフの早いボードに乗り続けていたら、今だに停滞したままサーフィンの上達はなかっただろう。