ショルダーを捉える
進化したテイクオフを早い波で試そうと思い、早いライトのポイントへ行ってみた。しかし、うねりの向きが悪いせいか、ほぼダンパーだった。
それでも切れた波が入ることを期待して入水することにした。
切れていそうな波を選んでも、ブレイクする時には繋がってしまう。こうなるとダンパーでも乗るしかない。
何度か乗ってみたが、まっすぐボトムへ降りて終わるパターンばかりだ。これではテイクオフが進化してるかどうかもわからない。そこで少しでも横に走れるテイクオフを目指すことにした。
ダンパーで横に走るにはテイクオフの早さが重要だ。一瞬の違いが横に走れるか走れないかの明暗を分ける。少しでも早く立とうとするとボードが滑走せず乗り損ねる。かと言って滑走してから乗ったら遅れて横には走れない。
滑走させながら早く立とうと何度もトライしているうちに、突然ショルダーを捉えた。一瞬だけ横に走ってすぐにボトムへ逃げたが、この違いは大きい。
ただ、どうしてショルダーを捉えれるようになったのか、自分でもわからない。いつも頭でひらめいた事を海で実際に試してみる僕にとって、こういう事は珍しい。
いったい自分がどういう動きをしているのか、実際にテイクオフを繰り返しながら謎解きが始まった。

膝を抱え込むように小さくなる
普段テイクオフの時は、滑走が止まらないように腕を斜め前に伸ばして頭の重心を前にスライドさせている。それが、ボードを持ってボードごと前にスライドさせてる感覚だ。でもレールはつかんでいない。
そのうち、下半身がカギになってる事に気がついた。腕を伸ばすと同時に膝をしっかり曲げ、足を折り畳んでいる。更に腰もしっかり曲げ、膝を抱え込むように小さくなっている。そしてコンパクトな塊と化した体ごと前にスライドさせているようだ。その勢いがボードに伝わり、ボードごと前に出る感覚になるのだろう。
更にボードに足を着く直前に、腹筋を使って腰をクイッと前に突き出すようにする。そうすると足が前に出て、スタンスがバッチリ決まる。
そして、これらの動作をしながら、つまり腕を伸ばして足を着くまでの間にノーズを進行方向へ向ける。これにより、足を着いた時にはショルダーを捉えていたのだ。
一瞬のうちに無意識で行ってる動作を解明するのは簡単ではなかったが、おかげでテイクオフが更に進化できそうだ。
テイクオフしかできないようなダンパー波でも大きな成果を得られたことで、充実した気持ちに満たされていた。